2024年12月20日
2025年2月21日
日本人は、時間に正確で、清潔さや規律を重んじ、「おもてなし」の心を大切にします。
その独特の国民性は、世界中から称賛と関心を集めています。
このような文化や秩序は、日本人が大切にしてきた「他者への思いやり」と「集団の和を乱さない」という価値観によって支えられています。
この記事では、日本旅行をより深く楽しむために、知っておきたい基本的なマナーと礼節をご紹介します。これらを理解することは、単なるルールの遵守以上に、日本人の「心」に触れる素晴らしい体験となるはずです。
日本の挨拶の基本は、相手への敬意を込めた「お辞儀」です。お辞儀には、軽く頭を下げる会釈から、深々と頭を下げる最敬礼まで、場面によって様々な形があります。
また、日本人とのコミュニケーションを、より多彩で楽しくするために、いくつかの基本的な挨拶フレーズも紹介します。ぜひ覚えることをおすすめします!
海外の方の「お辞儀」のイメージは深く頭を下げるお辞儀だと思いますが、この動作はプライベートの時間で常に行われるわけではありません。日本では、深く頭を下げるお辞儀は、特にビジネスシーンや冠婚葬祭、お正月など様々な場面で行いますが、基本的には人・モノ・コトへの深い敬意を表したり、古いしきたりを大事にするシーンで用いられます。
日本を訪れる観光客の皆さんは、軽く頭を下げる「会釈」を覚えておくと便利です。
軽く頷くような動作でも、問題ありません。
あとは、口角を上げて笑顔を見せることも忘れないでくださいね!
相手からのお辞儀(もしくは何かしらの敬意の表れ)に対してしっかり応えたいと感じた場合は、より深く頭を下げて「お辞儀」をすると良いでしょう。
簡単なフレーズをいくつか紹介します。これらのフレーズを言えるようになると、とてもスムーズなコミュニケーションができるはずです。最初から好印象を与えることができるでしょうから、覚えておいて損はありませんね!
◼︎感謝の言葉(例:ありがとうございます、美味しいです、etc...)
◼︎時間に応じた挨拶(朝・昼・晩で使い分け)
「おはようございます」「こんばんは」のフレーズも使えると、『この人は時間感覚もあって日本の文化への興味・関心に加えて理解もある人なのだな』と思われる可能性が高く、かなりの好印象です。ぜひ覚えてみてくださいね!
日本の食事マナーは、「いただきます」から始まり「ごちそうさま」で締めくくる、感謝の心を大切にする文化です。食材や料理を作ってくれた人々への感謝を込めたこれらの言葉は、日本の食文化の象徴とも言えます。
日本の食事作法は実に様々ですが、ここでは訪日観光の際に知っておくと便利な基本的なマナーをご紹介します。これらの作法を意識することで、日本の食文化をより深く、心地よく楽しむことができます。
◼︎「いただきます」
食事を始める前に言う言葉です。単に「食べ始めます」という合図ではなく、「命をいただく」という意味が込められています。食材となった動植物の命と、調理・提供してくれた人への感謝の気持ちを表現する大切な言葉です。胸の前で両手を合わせて言うのが一般的ですが、観光客の方は言葉だけでも問題ありません。周囲への配慮として、控えめな声量で言うことをおすすめします。
◼︎「ごちそうさまでした」
食事が終わった後に言う言葉です。「ご馳走(ちそう)」は「走り回って用意する」という意味に由来します。食事が用意されるまでに関わった全ての人々への感謝の言葉として使われます。「ごちそうさま」と言うこともありますが、「ごちそうさまでした」の方が、より丁寧な表現です。「いただきます」と同じように、胸の前で両手を合わせて言います。
◼︎お椀に箸を立てない
これは日本の仏事と深く関わるマナーです。お椀に箸を立てる行為は、お葬式で故人の供養のために行う「箸立て」という儀式を連想させるため、縁起が悪いとされています。箸は食事の際、箸置きの上に並行に揃えて置くか、お椀の上に平行に置きましょう。箸置きがない場合は、箸袋を折りたたむなどして代用すると、とてもスマートですね!
◼︎箸で食べ物を刺さない
箸で食べ物を刺して食べる行為は、仏壇や墓前に供える際の作法を連想させるため、避けるべきとされています。また、箸は本来、食べ物を優しく挟んで口元まで運ぶ道具です。食べ物を刺すことは、食材への敬意を欠く行為とも捉えられてしまうため、よっぽど食べにくい食材でない限りは避けた方が良いでしょう。
◼︎箸から箸への受け渡しは禁止
これも仏事に関連するマナーです。お葬式で故人の骨を箸から箸へと移す「骨揚げ」の儀式を連想させるため、縁起が悪いとされています。たとえ一口分だけであっても、料理を分け合う際は、一旦お皿に置いてから、相手に食べてもらうようにしましょう。
◼︎料理の取り分けは取り箸を使用する
料理をシェアしたい場合、取り分ける際に、自分の箸を使うのは避けましょう。これは衛生面への配慮だけでなく、他の人への心遣いを示す大切なマナーです。専用の取り箸がある場合はそれを使い、ない場合は箸の反対側を使って取り分けるのが正しいマナーです。
Q. 麺はすすって食べても良いのですか?
A. はい。そば、うどん、ラーメンは啜りながら食べて問題ありません。啜る際の音を出してはいけないというマナーもありません。
Q. 寿司は素手で食べても良いのですか?
A. はい。問題ありません。箸で食べても良いです。どちらでもOKですが、寿司以外は箸で食べてください。寿司はネタに少し醤油をつけたら、なるべく一口で食べるのがマナーです。
Q. 食事の際にやってはいけないことは?
A. 食べ物で遊ぶ、箸で皿を叩く、大きなゲップをする、などの行為は不作法になってしまいますので、気をつけましょう。
Q. チップは渡しても良いですか?
A. いいえ。日本にはチップの文化はありません。これはホテルや旅館など、どんな場所でも同じで、チップは不要です。日本では感謝や感動の気持ちは、言葉にして伝えてあげるのがベストです。
日本の電車やバスの運行時間の正確さ、清潔な車内、快適さに驚く訪日観光客の方は多いのではないでしょうか。
しかし実は、この快適さは利用者一人一人のマナーによって支えられています。このような一人一人の思いやりの心が、誰もが快適に利用できる公共交通機関を作り出しているのです。ここでは公共交通機関での最低限のマナーを3つ紹介します。
特に重要なのが「静かに過ごす」というマナーです。旅行で気分が上がるのは本当によく分かりますが、日本人にとってはその環境が日常なのです。電車やバスの中での大声での会話は控えめにし、スマートフォンや音楽プレーヤーの音量にも気を配ってください。特に車内での通話は避けることをおすすめします。
混雑時はなるべくカバンを抱えるか、手で持ちましょう。大きな荷物を持っている場合は、周囲の人に当たったり、通行の妨げになるなど、とにかく邪魔にならないような工夫が必要です。また、乗り降りするドア付近で複数人でたまったり、立ち止まると他の人の迷惑になる場合があるので注意しましょう。
咳やくしゃみをする際は、必ず口を手やハンカチで覆うようにしましょう。これは日本では当たり前のマナーとして定着しています。体調がすぐれない場合は、必ずマスクを着用することをおすすめします。マスクはコンビニや駅の売店でなら確実に購入することができます。
日本の観光地には、長い歴史と文化が息づいています。その美しさと風情は、地域の人々の日々の努力によって守られています。しかし近年、(日本も含めた)世界各地で観光客のマナー違反による問題が深刻化しています。
観光地は、日本を訪れる観光客にとっては非日常的なスポットであっても、地域の住民にとっては大切な生活の場であり、中でも神社仏閣は今なお信仰の場所であることを思い出してください。
ここでは、日本の文化や伝統をこれからも多くの人が楽しむことができるよう、観光地で絶対に守るべきマナーを紹介します。
日本の道路は、車が左側通行、歩行者は右側通行が基本です。横断歩道や信号機のあるところでは、必ずルールに従って渡りましょう。たとえ車が来ていないように見えても、信号を守ることは日本の交通文化として定着しています。また、多くの観光地では歩道が狭い場所もあるため、周りの歩行者の迷惑にならないよう、広がって歩くことは避けましょう。
日本の観光地では、特別に認められている場所を除いて、歩きながらの飲食は避けるべきマナーです。食べこぼしによる汚れや、ゴミの散乱を防ぐため、飲食は休憩所やベンチ、カフェなど、適切な場所で楽しみましょう。また、ゴミは必ず自分で持ち帰るか、決められたゴミ箱に分別して捨てましょう。ゴミ箱が見つからない場合は、必ずバッグなどに入れて持ち帰ってください。
神社仏閣は観光スポットである前に、大切な信仰の場所です。境内では大声での会話は控え、静かに参拝する人の邪魔にならないよう心がけましょう。また、本堂や拝殿の前での記念撮影は、他の参拝者の妨げになる可能性があるため、周囲の状況をよく確認してから撮影しましょう。日本人にとって神社仏閣は、今なお大切な祈りの場所であることを忘れないでください。
歴史的建造物や展示物は、長い年月をかけて大切に保存されてきた貴重な文化財です。触ることで傷んでしまったり、汚れてしまう可能性があるため、展示物には決して手を触れないようにしましょう。写真撮影の際も、フラッシュ撮影が禁止されている場所が多いので、必ず注意書きを確認してください。これらの文化財を、未来に残し、後の世代にも伝えていくことが私たちの責任です。
SNS映えを狙った写真撮影が人気ですが、他の観光客や地域の方々の迷惑になるような撮影はやめましょう。特に、撮影のために通行を妨げたり、私有地に無断で入ったりすることは厳禁です。また、多くの神社仏閣では、本堂内部の撮影が禁止されています。撮影可能な場所でも、三脚の使用や、長時間の撮影は控えめにすることを心がけましょう。
観光地では、思い出作りに夢中になりすぎて、周囲への配慮を忘れがちです。特に団体での観光の場合、通路や道路上で突然立ち止まって写真を撮ったり、大人数で場所を占有したりすることは避けましょう。また、SNSの動画撮影などで騒いだり踊ったりする行為は、その場所の雰囲気を損ね、他の観光客や地域の方々に不快な思いをさせてしまいますのでやめましょう。
ほとんどの観光客の方は、神社仏閣や有名観光地ではマナーを意識されると思います。しかし、日本の街を散策する際も同様に、いくつかの基本的なマナーがあります。
日本の街が清潔で安全だと感じられるのは、住民の一人一人が日常的に守っているルールとマナーがあるからです。些細なことかもしれませんが、こうした小さな心遣いの積み重ねが、日本の街の快適さを支えているのです。
観光客の皆さんにも、ぜひこの日本らしい街の雰囲気を楽しみながら、同時にその維持に協力していただければと思います。
日本の多くの都市では、路上喫煙が法律や条例で禁止されています。特に、繁華街や観光地周辺は「禁煙エリア」として指定されており、違反すると罰金が科される場合もあります。喫煙は必ず決められた喫煙所で行いましょう。喫煙所は主要なターミナル駅や商業施設の周辺、建物内に設置されていることが多いので、案内マップで「喫煙所マーク(たいていは紙タバコのアイコンです)」を探すのが良いでしょう。
日本では、歩きながら飲食をする行為は、あまり好ましくないとされています。食べこぼしによる街の汚れを防ぐためだけでなく、他の歩行者への配慮という意味も含まれています。ただし、観光地周辺の参道や、祭りの屋台など、特別に認められている場合は例外ですので、思い切り楽しんでくださいね!
日本の街の清潔さは、世界的にも有名です。これは、「ゴミは必ず持ち帰る」という意識が日本人に定着しているからです。ゴミは基本的に持ち帰り、自宅や宿泊先で適切に分別して捨てましょう。コンビニエンスストアやカフェで購入した商品のゴミは、できるだけその場所で捨てることおすすめします。
日本の街では、特に駅構内や観光地周辺では歩道が狭いことがよくあります。そのため、グループで歩く際は、歩道幅いっぱいに広がって歩くことは避けましょう。これは、対向する歩行者の妨げになるだけでなく、急ぎ足の地元の方の通行も妨げることになります。特に通勤・通学時間帯は、多くの人が時間を気にしながら歩いているので、より一層の配慮が必要です。
日本のエスカレーターでは、急いでいる人が歩いて通れるよう、片側に寄って立つことが一般的とされています。ただし、寄る側は地域によって異なり、東京では左側に寄り、大阪では右側に寄る習慣があります。もしも迷った場合は、周りの人の立ち方を観察してそれと同じようにすれば大丈夫です。
日本には古くから続く生活様式が今なお根付いており、それは宿泊施設でも変わりません。特に旅館では、畳の上での過ごし方や大浴場の利用など、日本の伝統的な文化と密接に関わるマナーを目にすることでしょう。
日本での宿泊を心地よく楽しむためには、これらの基本的なマナーを知っておくことをおすすめします。もしも不安な点があれば、宿泊施設のスタッフに聞くことが何より確実ですので、遠慮なく質問してくださいね!
「清潔」を重んじる日本では、家やホテルの和室、そして多くの旅館では、室内に入る際は必ず靴を脱ぎます。
靴を脱ぐ場所(玄関)には段差があり、そこで靴を脱いでスリッパに履き替えるのが一般的です。ただし、和室に入る際はスリッパも脱ぎます。畳の上では、靴下か素足で過ごすのが日本式です。また、トイレ用のスリッパは専用のものが用意されているので、トイレを出る際は必ず元のスリッパに履き替えることを忘れないでください。
温泉や大浴場などでは、日本独自の作法があります。最も大切なのは、湯船に入る前に身体についた汗や泥、埃などをきれいに洗い流すことです。湯船は身体を温めるためのもので、利用者全員で共有する空間です。
ハンドタオルなどもお湯に潜らせるのは厳禁ですので注意が必要です。お湯に漬けないように頭の上に乗せるか、湯船の淵に置いておきましょう。
なお、タトゥーがある方は、入浴をお断りする施設も多いため、予約時に確認することをおすすめします。
ホテルや旅館に置かれているアメニティ(歯ブラシ、シャンプー、タオルなど)は、基本的に滞在中の使用のみが想定されています。施設によっては一部のアメニティを記念品としてお持ち帰りいただけることもあります。もし分からない場合は、ホテルのフロントや旅館のスタッフに尋ねてしまうのが確実です。
Q. なぜ日本では靴を脱ぐのですか?
A. 主に清潔さを保つためです。高温多湿な日本では、古くは床下に空間を設けて湿気対策をする建築様式が一般的でした。また、畳の上で座り、寝起きする生活様式も、靴を脱ぐ習慣に深く関係しています。外の汚れを持ち込まないという意識は、今でも日本人の大切な価値観となっています。
Q. なぜ日本の温泉ではタトゥーが認められていないのですか?
A. 日本ではタトゥーに対して反社会的なイメージを持つ文化的背景があります。全ての利用者が安心して利用できる環境を作るため、多くの施設で入浴をお断りしています。
Q. タトゥーは全ての温泉地で禁止されていますか?
A. いいえ。全てではありません。タトゥーに寛容的な施設も中にはあります。また、防水シールでタトゥーを隠すことで入れる場合もありますが、宿泊先に事前に確認するのが最も確実です。
Q. タトゥーがあっても利用できる施設はありますか?
A. はい。客室露天風呂のようなプライベートな浴槽が付いている場合は、問題ないケースがほとんどです。また地元の銭湯なども利用できる可能性があります。ただし、同じような施設でも利用できない場合がありますので、予め確認しておくことをおすすめします。
この記事で紹介したマナーの多くは、日本人の「思いやりの心」から生まれた習慣です。一見すると細かいルールが多いように感じるかもしれませんが、これらを意識することで、日本の文化や生活様式をより深く理解することができます。
日本では「和を以て貴しと為す」という言葉があるように、互いを思いやり、調和を大切にする精神が今も息づいています。マナーを守ることは、決して面倒なことではなく、むしろ日本文化の素晴らしさを体験する機会になるはずです。
たくさんの思い出が残る、素敵な日本旅行になることを願っています!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
では、また次の記事でお会いしましょう!